恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
一瞬の出来事で拒否もできず何故こんなことになっているのかもわからず…私はポカンと口を開けて満足そうに笑う夏希君を見上げる。

「え、今…なんで、」

夏希君はアスファルトの上に落とした鞄を取って私に手渡す。
ありがとうと言って受け取るが、放心状態の私は必死に今の状況を頭の中で整理する。

今、私は…夏希君にキスをされたということだよね。
うん…キスをされた、これは事実だよね。

「送ってこうか?」

今あったことを気にする素振りなんか全く見せずにサラッとそんなことを口にする夏希君が今ならロボットですと言われても驚かない自信がある。

「いいよ、いい!いらない!一人で帰る」
「ふーん」
「…なんで、そんなこと、」

私は自分の唇にそっと触れた。
…契約結婚だし、浮気になるわけではない、よね?涙目になる私は夏希君の服を掴んで(掴みかかる)

「なんで、なんでキスしたの!!」

と、周りには通行人がたくさんいるというのに私は声を張り上げていった。

< 115 / 282 >

この作品をシェア

pagetop