恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
キス

自分の心では支えきれないほどの罪悪感が一気に波のように押し寄せ喉元がきゅっと縮む。
夏希君としたことを(されたのほうが正しいけど)言ってしまおうか。
でも、それを言った後で好きですなんて言って信じてもらえる?

軽い女って思われないだろうか。

「ね、してくれないの?」
「…します、はい…」

そういうと、千秋さんが私から手を離してすっと軽くなったかと思ったらすぐに強引に正面に向かされる。
向かい合うとばっちり視線が絡み合う。
千秋さんは、少し機嫌が悪そうだった。

「ほら、してみてよ」

急かされて私はうろうろ視線を揺らしながらも彼の方へ顔を近づける。
千秋さんのほうが圧倒的に身長が高いため少し屈むような体制になってくれた。

ダメだ!口だけは!唇だけは…。
千秋さんの唇を見て夏希君のそれを思い出した私は勢いよく千秋さんの頬にキスをした。


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