恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
「本当に君は人を魅了する力があるね」
「…ごめんなさい、言ってる意味が…」
「自覚がないというところも、ある意味いいところではあるのかもしれないけど」
千秋さんがそう言って私の体を開放する。
ふぅ、とようやく呼吸ができる。あんなに近い距離でドキドキしない人はいないと思う。
「桜子の出勤日教えてね。行くから」
「…本当に来るんですか…」
「そりゃそうだよ」
やっぱり来るんだ…と思いながら私は夕食の食器を洗うためにリビングへ戻る。せっかくだからアルバイトも全力で楽しみながら仕事したいのに、なんだかすぐに辞めさせられる気がして私は心の中でため息を溢す。