恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
翌日

私は午前中から出勤していた。
本当は辞めることになるのかと思ったけど、どうしても辞めたくないという私の希望をなんとか聞いてくれた。
その代わり、条件が課された。

1 倉田さんと個人的に会ったりしない(あくまでも喫茶店のみ)
2 必要以上に触れない(前回よろけて倉田さんの胸に体をあずけてしまったことをかなり怒っていたからだと思う) 
3 出勤時、退勤時の連絡をする

この3つを守ることを条件に私は喫茶店での仕事を許可された。

「桜子ちゃんは新婚なんだ」

ちょうど混雑が落ち着いてきたころ、カウンターで倉田さんが話しかけてきた。私はそうですよと返事をする。
契約結婚とはいえ、今は愛し合っている夫婦だ。

「いいね~はぁ、でも残念だなぁ。独身だったら狙ってたのに」
「何言ってるんですか。従業員に手を出すなんてダメですよ。倉田さんは彼女は作らないのですか」

その質問に、コーヒーを入れる手を止めた。

「作らないね。僕は意外と真剣交際を望んでいるから」
「へぇ、意外」
「こらこら、意外とは失礼な」

そう言って私を軽く睨む倉田さんに思わず声を出して笑ってしまった。

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