恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
「うーん。確かに変だよね」
「でしょ?それに気づかなかった自分もどうかと思ってるけど」
「まぁ、桜子は細かいこと気にしないもんね」

細かいこと気にしないレベルじゃない。どうしてこのことに今まで気づかなかったのか自分が信じられない。
はぁ、と息を吐いて私は言った。

「どう思う?聞いた方がいいよね」
「そりゃ夫婦だしね!でも、思ったんだけど…そもそも契約結婚でしょう?本当に大丈夫なの?だってほら、一夫多妻制がいいとかいう男性もいるでしょう?そういう人たちってみんな平等に彼女たちが好きなんだとかいうし…」
「…うん、でも、千秋さんに限ってはそれは…」
「でも人の心なんて読めるわけではないし言葉にして言わないと伝わらないから」

彼女のいうことはもっともだ。
私は千秋さんの気持ちはちゃんと自分に向いていると思っていた。
でも、それは私がただ単に感じているだけでは?自分に都合よく解釈しているだけでは?

そう思うと胃が重く感じて食欲も出ない。

「わかった!聞いてみる、」
「珍しいね。いつもの桜子なら考える前に本人に言ってしまいそうなのに」

私は苦笑した。
その通りだ、今までならそうだった。
でも、今は違う。それを聞いてもし、私のことを好きじゃなかったら?その時ショックで生きていけるだろうか。

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