恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
まぁ、もし本人に聞いてみて”好きじゃないよ？”なんて涼しい顔で言われたらショックで崩れ落ちるよりも前に思いっきりぶん殴ることになるだろう。

お礼を言って葉月との電話を終えると私は夕食の準備のため、買い出しへ行って残っている家事をした。

千秋さんは今日は早めに帰宅した。
家に帰ってくるなりすぐに

「どうして連絡してくれなかったの？」

と若干責めるような口調で言われる。彼が言っているのは、仕事が終わったら連絡するという約束を早速破ったことを言っているのだ。
でも18時過ぎに一応遅れたが連絡はした。

私は体調がすぐれなくて店長に帰っていいと言われて早めに帰宅したことを伝える。

「え、体調悪かったの？」

ジャケットを脱ぎながら私に近づき顔を覗く。やはり何度見ても綺麗な顔をしている。心配そうに揺れるひとみを見て、絶対に私のこと好きじゃん！と自信過剰な考えに至る。

”心なんて読めないし”

でもすぐに葉月の言葉が浮かび、ちゃんと聞こうとゴクリ、唾を飲む。

「…体調はもう大丈夫ですよ」
「本当に？」
「はい、倉田さんがすぐに帰るようにって言ってくれて」
「…あぁ、あの店長ね」

心配そうに揺れていた瞳が一気に黒く濁る。
倉田さんの名前を出すと不機嫌になるからあまりしないようにしなければ。

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