恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
「…それとも嫌かな?」
「…」

本当のことを言うべきか迷った。
でも、おそらくこの人なら私のことはそんなふうに見ないのではないかと思った。
私は、目線をゆらゆら空へ移動させながら

「…嫌っていうか」
「うん」
「あの、私結構…そのやりまくりで」
「え?!君が?」
「ええ、まぁ。で、その…セックスに飽きちゃって」
「へぇ、そうなんだ、見えないね?」

こんな咄嗟についた嘘が下手すぎて笑ってしまいそうになった。
キスすらしたことがないくせに…。
でもまぁこう言っておけば私に手は出さないだろう、そう思った。

「じゃあ、出ようか。来週には引っ越し手続き進めるよ」
「はい」
「あ、これ」
「…」

そう言って立ち上がった朝宮さんは私に約束の5万円を私に手渡してくれた。

「あ、すみません…」
「ううん、約束だったし」


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