恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
「どうして夏希君がここにいるの?」
「そんな怖い顔すんなよ。今は俺、客なんだけど」
「そうだよ、桜子ちゃん~ここは仲良く仲良く。旦那様の弟さんなんでしょう?」
「倉田さんは黙っててください!」
千秋さんからは、あの件以降毎日のように愛の言葉をささやかれている。
そして、喫茶店勤務についてはなんとか許してもらっている。
今日はなぜかお客として夏希君が来店してきた。
仕事は?と聞くと土日休みなく出勤してるから今日はお休みだそうで、だったら自分の家で過ごしなさいよ、と思った。
カウンターに座り意外にも倉田さんと気が合うようでもう二時間近くもここにいる。
いつ帰ってくれるのかと思いながら私は他にもお客様がいるから自分の仕事に集中する。
お客様がまだらになってきて、カウンターへ戻ると夏希君に声を掛けられる。
「あ、そうだ。今週末なんだって?朝宮家に行くんだろ?」
「…うん。ようやくかな。もう少し早く挨拶したかったんだけど…ほら、延期になってて」
お盆を置いて、夏希君へ目線を合わせる。
二杯目のコーヒーを飲みながら顔を傾げる彼は、意味深な笑みを向ける。