恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】

その雑誌は情報誌だろうか、あまり見たことのないもので私は首を傾げながら倉田さんの指さすそれを見る。

「え！」
「イケメンだね～君の旦那さんは」

そこには千秋さんが顔写真付きで掲載されていて、実物もかっこいいけど写真映えする彼に惚れ惚れする。

たまたま購入した雑誌なのか、はたまた千秋さんが載っているから購入したのかわからないが、倉田さんが何度もイケメンだねぇと言いながら嬉しそうに私に報告してくるのを見て微笑んでしまう。

「大学在学中からアプリの開発だって。へぇ、すごいね？知ってた？」
「…あー、知らないです」
「旦那さんのことあまり知らないんだね？」

心臓が大きく跳ねる。
私たちは契約結婚で、お互いがお互いを知らないまま結婚した。
そしてこの関係は過去を含めお互いを知る必要のない関係だ。
そういえば、千秋さんってどういう人生を歩んできたのだろう。私のことは結婚前に調べているだろうし知っているような気はするけど私は今の彼しかしらない。