恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
喫茶店を出ると、冷たい風が頬を撫で私は思わずコートに首を埋める。
マフラー持ってくればよかった。
そもそもあんなに素敵な喫茶店に行ったのにすっぴんなんて…。

「君って本当に俺に興味ないみたいだね。俺の事何も聞いてこないもん」
「…そ、そんなことないですよ!」
「いや無理しなくていいよ」

軽く笑う朝宮さんから白い息が出る。
もう季節は11月
あっという間に冬になる。いや、もう冬なのかもしれない。
季節を感じる余裕すらなかったからいいか悪いかは別にして、こんなふうに肩の荷が下りたのはこの人のお陰だ。

「あ、じゃあ―質問します」
「うんどうぞ」
「朝宮さんのご実家へのご挨拶は…」
「ああ、それなら来週一緒に行くよ」
「っ」
「俺の親はねどちらも名家の出身なんだ。だから親的には俺に継いでほしかったみたい」
「そうなんですか、」

ご両親に会いに行くなんて大丈夫だろうか。

< 22 / 282 >

この作品をシェア

pagetop