恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
それはそうかもしれない。
千秋さんの方が実の親だからこそ、わかっていると思う。
でも、私は今日初対面で彼らのことは何も知らない。
それに…―。
「お互い、わかってないと思う」
千秋さんが怪訝そうに私を見上げる。千秋さんの両親の視線も私に向いていて、本当はおしとやかに今日は黙っている予定だったのに全部計画通りにいかない。
「千秋さん、ご両親は工学部への入学は反対だったのですよね」
「…そう、だけど」
「本当は医学の道に、おそらくそうですよね。今でも認めていないような発言をされるからそう思い込んでいるのかもしれません。でも、思い出してください。千秋さんの大学進学の援助は?学費などはどのように?親じゃないんですか」
「…それは、」
本当に認めていないのならば、経済的な援助は一切しないなどできたはずだ。
それをしなかったのは、少なくとも親としての愛情はあったはずだ。
私にはない、それが本当は羨ましい。
小さなころから母親は男をコロコロと変えて、セックスするからという理由で家に入れてもらえない。そんなことは日常茶飯事だった。
ご飯もないし、いつも汚い子供だったように思う。
それでも、私は未だに母親の夢を見る。
いったこともないくせに、お花畑でお弁当を食べて笑い合っている、そんな”理想”の世界の夢をまだ見てしまう。
千秋さんの方が実の親だからこそ、わかっていると思う。
でも、私は今日初対面で彼らのことは何も知らない。
それに…―。
「お互い、わかってないと思う」
千秋さんが怪訝そうに私を見上げる。千秋さんの両親の視線も私に向いていて、本当はおしとやかに今日は黙っている予定だったのに全部計画通りにいかない。
「千秋さん、ご両親は工学部への入学は反対だったのですよね」
「…そう、だけど」
「本当は医学の道に、おそらくそうですよね。今でも認めていないような発言をされるからそう思い込んでいるのかもしれません。でも、思い出してください。千秋さんの大学進学の援助は?学費などはどのように?親じゃないんですか」
「…それは、」
本当に認めていないのならば、経済的な援助は一切しないなどできたはずだ。
それをしなかったのは、少なくとも親としての愛情はあったはずだ。
私にはない、それが本当は羨ましい。
小さなころから母親は男をコロコロと変えて、セックスするからという理由で家に入れてもらえない。そんなことは日常茶飯事だった。
ご飯もないし、いつも汚い子供だったように思う。
それでも、私は未だに母親の夢を見る。
いったこともないくせに、お花畑でお弁当を食べて笑い合っている、そんな”理想”の世界の夢をまだ見てしまう。