恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】

お義母さんはふう、と息を吐くと「馬鹿ね」と言った。

「へ？」

真っ赤に充血した目をお義母さんに向けると呆れたように息を吐き、でも千秋さんと同じような優しい目を向けてくれる。

「契約結婚に反対なんかしませんよ」
「え？！どうしてですか」
「だって私たちも訳アリ結婚ですから」
「ええ？！」
「結婚なんて別にそれぞれのきっかけや理由でいいのよ。夫婦というのは、二人でそれぞれの形を作っていけばいい。それに答えなんかない。利害関係の一致で一緒にいるのも別にいいし、お互いが好きで一緒にいるのもいい。私たち夫婦も利害関係が一致して結婚したけど今じゃお互いがお互いを必要としているし愛し合っている。そういう努力をしてきた。あなたたちもこれからずっと一緒にいたいと思うのならお互いに努力しないとね」


そう言って目じりの皺なんかほどんどないのに、目を細めてそれを作るお義母さんに私も微笑んだ。