恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
「おやすみなさい…」
「うん、おやすみ」

俺の隣に枕を並べ、そこに頭を預けるとすぐに目を閉じてむにゃむにゃと口元を動かして眠りについた。

「…はや」

本当にすぐに寝てしまうからある意味それは彼女の特技なのではと思う。
俺は肘を立てて横向きになりながら彼女の寝顔を見つめる。

スヤスヤと眠っている桜子に触れるだけのキスをすると嬉しそうに笑うからもっとしたくなってしまうのに、君は今は夢の中だ。

こうやって桜子が先に眠ってしまった夜は(ほぼ毎日そうだけど)彼女の寝顔と寝言を聞くのが日課になりつつある。

「うふふ、…こ、め…」
「米?」

幸せそうな彼女はどんな夢を見ているのだろう。
出来れば、俺の夢を見ていてくれたら嬉しいけど今のところ俺の名前が出てきたことは一度もない。

と、突然彼女が勢いよく腕を天井に向かってあげる。
びっくりして桜子?と名前を呼ぶが彼女は寝たまま「わが生涯に…一片の悔いなし…」と言って勢いよくその腕をもとの位置へ戻す。

「…え…」

可愛い寝息を立てて起きる様子のない彼女をじっと見つめながら首を傾げる。

いったいどんな夢を見ているのだろうか。
冷静になって考えると彼女の寝言は面白すぎるのだけどここで大笑いしたら起きてしまうから肩を震わせて笑っていた。

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