恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
♢♢♢

今日は夏希君が遊びに来ていた。
夏希君もどうやら両親と和解して、今はそれなりに連絡を取るような仲になったようだ。

今日はせっかく夏希君が遊びに来てくれたから、何か手料理でも振舞おうと思ったのに

「ねぇ、もしかして具合悪い?」
「あー、大丈夫」
「確かに、顔色悪いよ。少し休んでいったら?」

どうやら夏希君は体調が悪いようで家に来たときはそんなことはなかったのに徐々に顔色が悪くなる彼を千秋さんと二人で心配していた。

「熱あるんじゃない?」

私が夏希君のおでこを触ろうとするとすかさず千秋さんが私の代わりにそれをして宙ぶらりんになった手をそっと下ろした。

「熱あるよ。体温計持ってくるから。使ってない部屋あるし休んでいったほうがいい」
「いいって。移したら大変だから帰るよ」
「そんな状態で運転できないだろう。とりあえず座ってて」

そう言って立ち上がり体温計を取りに行く千秋さんの背中を見ながらやっぱり兄弟なんだと思った。
お兄さんは弟が心配なようで、仲の良い兄弟が羨ましい。

「今日はうちに泊まっていきなよ。ね?」
「…わかった」

一人暮らしで具合が悪くなるといろいろと大変だろう。
こういう時はちゃんと甘えたらいいのに。

夏希君は具合が悪そうにずっと顔を顰めていた。
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