恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
夏希君が帰った後、私は食器類を片づけて自分の部屋で本を読んでいた。

…夏希君すごい大人になってたなぁ。
急に会えなくなってしまったから、寂しかったな。でも今こうして再会して元気そうにしている姿を見ることが出来てほっとしていた。

と、ドアをノックする音が聞こえた。
入っていい?という声に私は、どうぞと返事をした。

ドアから顔を出したのは、朝宮さんだった。

「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど」
「はい…」

朝宮さんは部屋に入ってきて、ベットの上に座る私の隣に腰かけた。
揺れるスプリングベットにちょっとだけドキドキしてしまったのは男慣れしていないからだ。

「ちょっと触れてもいい?」
「っ…え?!な、なんでですか」

朝宮さんはそう言って私に手を伸ばしてきた。
咄嗟にまたぎゅっと目を閉じて本が手から滑り落ちてしまった。


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