恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
ソファに腰かける彼女は家の中を興味深そうに見ていた。
そっとコーヒーをテーブルに置く。

「どうぞ、コーヒーです」
「ありがとうございます。コーヒーは体を冷やすので普段は飲みませんが」
「そうなんですか！ごめんなさい。お茶とかにしましょうか？」
「いえ、結構です」

次回来たときはコーヒーではなく別の飲み物を出そうと思った。

綺麗で上品で、清楚な印象の彼女はその見た目と裏腹にどこか棘のある言葉を向けてくる。

「あの千秋さんならまだ帰宅していないのですが」
「いえ、千秋さんに会いにきたというよりはあなたに会いに来たの」
「…え？私？」
「あ、ご挨拶がまだのようでしたね。私は千秋さんの幼馴染の小柳雪乃と申します」

そっか、千秋さんの幼馴染かぁ、でも何故私に会いに来たのだろう。
疑問符はまだ頭の中から消えないけれど

「そうだったんですね！千秋さんの幼馴染ということは以前から彼のことをよく知っているんですね！」
「ええ、そうです。あなたよりも千秋さんのことは知り尽くしています」
「じゃあ聞いていいですか？今日実はミルフィーユ鍋にしようと思ってるんですけど…千秋さんって嫌いなものありますか？聞きそびれてしまって…」
「…は？」

雪乃さんは顔を引きつらせて固まった。

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