恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
千秋さんが知ったらなんていうだろう。
いいっていうだろうか。

うう…と唸っていると隣にいる夏希くんがふっと軽く笑って私の髪をなでた。

「わ、ちょ、やめてよ」
「いいじゃん」
「よくないよ。デートだって千秋さんに何ていったら」
「いう必要ある?」
「…え?」
「だって契約結婚なんだろ。詮索はしないんだから別にいいじゃん」
「…そっか」
「そうだよ」

千秋さんとは違った強引さのある彼に負けて結局デートの約束をしてしまった。
…まぁ、千秋さんには黙っていればいいし、確かに詮索しないって約束だったし。と、なんとか自分に言い訳をして安心した。

お湯が沸いたから私はお茶を入れるために立ち上がった。

夏希君は満足そうに口角を上げていて、先程までは感じなかった昔の彼の面影を感じた。



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