恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
キッチンでお茶を入れながら、今日届いた土鍋を開封していた。
今日の夕飯は鯛めしと天ぷらを作る予定だ。

夏希君は土鍋を開封している音が気になったようで、近づいてきた。

「何してんの?」
「あ、ごめん。お茶もう少しだから」
「いいよ、急がなくて。それよりも土鍋?」
「うん。今日はね鯛めし作るんだ」
「へぇ、いいな。料理するんだ」
「そりゃそうだよ。私一応奥さんだからね」


夏希君はじっと私がワクワクしながら開封している様子を見ていた。
鯛もいいものを用意してあるから千秋さん喜んでくれるといいんだけど。

お盆の上に来客用の湯呑を並べて、80度くらいになったであろうお湯を急須に注ぐ。
2分ほど待って、湯呑にそれを注いだ。


「夕飯の準備大変?」
「そんなことないよ。あーでも、鯛めしってさぁ、先に鯛を焼いてから土鍋で調理する人もいれば最初から土鍋に入れて米と炊く人もいるでしょう?千秋さんってどっちが好みなのかなぁ」
「…」
「そういうの考えながら料理するからちょっと大変かも」
「…」



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