恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
何故かわからないけれど、夏希君の表情がどんどん曇っていく。
…何か悪いことを言っただろうか。

「お茶、入れたから運ぶね」
「うん。ありがとう」

私は、先ほどまで座っていたソファに座り、彼の前にお茶の入った湯呑を置いた。
夏希君はありがとうと言ってそれに手を伸ばした。


「…いいな」
「何が?」
「だって兄貴はこんなにも桜子に色々考えてもらってるわけでしょ。夕飯だってそうじゃん」
「…だって、一応妻だし」
「俺だって桜子にそんなふうに考えてもらいたい」
「…」
「ていうか桜子の作った料理食べたいし」
「あー、うん。ありがとう…」

複雑な心境で、何て言葉を返していいのかわからなくなる。

やっぱり千秋さん不在の時に彼を家にあげるのはやめよう、そう思った。

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