ストロベリー・ゲーム

画面の電源をつけると、あろうことかロックもかかっておらず、そのまま開いてしまった。やばい、と思いながらも、アラームを切り、一旦辺りを見渡す。まだ、二人とも起きる気配はない。

そこでふと、昨日のことを思い出す。


『どうして、友達の連絡先がひとつも、ないの?』


あたしは真広のスマホを昨日も見た。そして祖父母以外に連絡先がないことを知った。あれはまだ信じられなかった。じゃあ、チャットアプリならどうなんだろう?

みんなが使っている有名なチャットアプリのアイコンが、確かにそこにあった。
覗いたとしても閲覧履歴は残らない。大丈夫のはず。


どくん、どくん、と心臓が深い鼓動を打つ。
二人の寝息が静かに混じり合う、朝の淡い光の差す部屋。あたしはアイコンをタップして、その場に立ち尽くしていた。
< 116 / 232 >

この作品をシェア

pagetop