ストロベリー・ゲーム


怜美も真広も寝起きはうとうとしていた。
眠気が覚めるまでゆっくりしよう、とあたしが提案した。

しばらくして、真広が口を開いた。


「三日目か」

ため息をつくような言い方だった。

髪の毛は少し寝癖がついていて、ブレザーにはしわが寄っている。
さすがに三日目ともなればストレスが溜まってきていた。あたしも、真広も、怜美もだと思う。なんとなく気持ちが重い。

「雨降ってるね」と怜美がドアの方に振り向いた。
ドアについているすりガラスから漏れているあの白い光は、曇りの空なのか。耳をすませば、サアアとホワイトノイズめいた音が部屋の中に流れ込んできていた。雨、気づかなかった。


「最近晴れが続いていたから珍しいかも」と怜美が意外そうに言った。確かにそうかもしれない。ここに来るまでも晴れの日が続いていた気がする。



「俺、最近なにしてたんだっけ」



ぼんやりと、真広が呟いた。
雨音にかき消されそうな静かな掠れた声だった。
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