ストロベリー・ゲーム

遠くを見つめるその瞳の奥に、あたしはいないような気がする。


「ここに来る前に、おばあさんと電話していたんだよね?」



怜美が尋ねる。
そういえばそんなことも言っていたよね。


「うん。なに、話してたのかな......大事なことだったんだ、結構。家の固定電話にかかってきた」

「携帯じゃなくて?」


あたしはふと気になって聞いてみた。
てっきりスマホに電話がかかってきたのだと思っていた。

あたしに聞かれると、真広は少し固まって、考えて、首を捻って。


「......あれ? あ、そうだ。俺の部屋には固定電話なんてない。じいちゃんの家に行ったんだ。......いや、違う、じいちゃん家にずっといた。俺、一人暮らししてないんだ今」

「どういう......こと?」


怜美と顔を見合わせて、戸惑う。
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