ストロベリー・ゲーム

なにか妙な空気だった。

言っていることが支離滅裂な真広に、あたしも怜美も違和を感じずにはいられなかった。昨日か一昨日に真広が話していた内容を思い返し、問いかける。


「一人暮らししててバイトしてるんでしょ? そう言ったよね?」

「分からない......なんでだろう」


分からない?



「まさか、記憶喪失?」



怜美の言葉に、あたしの心臓が驚いて跳ねた。
記憶喪失。真広は病気じゃないと否定していたけど、本当は、そうなの?

「いや」と真広は首を横に振る。すぐに否定したが、前のように興奮して叫ぶようなことはなかった。じゃあ、違うのかな。......どういうことなんだろう、なにか変だよ。


「話してくれない? 今分かること」


何回も、何回も、真広に投げかける質問。
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