ストロベリー・ゲーム
そして自分の高ぶった感情が抑えられず、黙ってしまった真広に対して追い打ちをかけるように「ねえ」と急かすんだ。ふと怜美の方を見れば、そんなあたしをよく思わないような不満そうな顔をしている。
それでも何も言わずに「やめなよ」と視線だけで訴えてくるから、あたしを無言で偉そうに制圧しようとする怜美に対しても怒りを感じた――その時だった。
「俺が嘘をついてるの?」
建物を囲む雨音が弱くなっていく。
真広の声がやけに大きく聞こえた。
真広は、何を言いたいのか。
震えている。声も、体も。苦しそうだと分かる。それでも理由が分からない。どうしてほしいの? あたし達になにを求めているの? 全部口にしてよ。声に出してよ!
あたしは感情論を大事にしている。
本音が知りたいの。素直になれない意味が分からないよ。
「今こう言わなきゃいけないとか考えるんだ。そうじゃないとあ、頭が、狂いそうになる」
――――あたしには分からない。