ストロベリー・ゲーム
俺はいつも「うん。してるよ」と言うんだ。
してないと言ったら殴られそうで怖かったし、また閉じ込められる気がして。当時の俺は反省していたとは思うが、とにかく祖父が怖くてなにも言えなかった気がする。
でもそんな祖父でも、俺が少しでも何かを成し遂げれば凄く褒めてくれた。特に誰かを助けること、手伝うことをすれば、「よくやった」と自分のことのように喜んで、思い切り笑って頭をぐしゃぐしゃ撫でられた。
怒られることは多かったけど、無償の愛も人一倍注いでもらった。親が仕事でいない分、一人になる俺のことをちゃんと見て、守ってくれたいた。
善意と悪意をしっかり見極められる大人だった。
祖父は近所の人からも信頼されていた。ボランティア活動もやっていた。農業をしながらよく町を飛び回っていた。毎日忙しそうだった。