ストロベリー・ゲーム
真広だって家族の事......死んでいる親の事なんて、話したくなかっただろうに。
私は耐えきれなくなって、二人の間に割って入る。
「と、とりあえず、苺はまだ大丈夫そうだから置いておこう? 桐江くんのおじいちゃん、私達に“頭を冷やせ”って言ってたよね。あれ、私達がなにかやらかしたってことじゃないの?」
「うん......じゃあ、面識がないならさ、行動に共通していることがあるかも。ここに来るまでになにしてた?」
藍子も話題を変えようとしてくれた。
しかし、真広の様子がおかしかった。左隣に立ったまま俯いていて、なにも話さない。身長が高いので下から覗き込んでその顔を見れば、顔色が良くない。
「桐江くん? 大丈夫?」
「............トイレ行ってくる。ごめん」
真広が離れると、藍子が私の方に近づいてきた。