ストロベリー・ゲーム

そう思うといたたまれなくなった。
やりたくてやったのではないのかな。お腹が空いていたからなのかな。

よく見れば服も茶色の汚れがあったり、スカートも裾が裂けている。


本当に本当に、困っていて食べてしまったなら、この子はかわいそうだ。

同情。たぶん、まだ幼い自分には、この時一番正しい判断ができなかった。
甘かったと思う。



「うちに来る? なにか食べ物あると思う」

「え、え! いいの?」

「いいよ」

「やった! ありがとう」


涙を拭って笑顔になった女の子。背中には赤のランドセル。
防犯ブザーには名前の書かれたシールが貼ってある。


さいどうれみ――――これが彼女の名前らしい。
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