ストロベリー・ゲーム
「開かない?」
「うん、なんだこれ」
真広がドアノブを捻って前に体重をかけて押してみても、逆に引いてみても、部屋の正面にある大きなドアはびくともしなかった。反対側にもう一つある部屋のドアは開いたが、洗面所とトイレがあるだけで。
大きなドアは私が開けようとしても藍子が開けようとしても無理だった。
外から鍵がかけてあるのだろうか?
「なんで? 閉じ込められてるの? 俺ら」
「嘘でしょ」と藍子が魂が抜けたように呟く。そして続けた。
「この部屋、どこなんだろう?」
「俺、なんか見覚えある気がするけど......」
「え、ホントに!? どこなの?」
心当たりがあるといった顔をして、真広が部屋を見渡す。私も藍子も全く知らない場所。真広が知っているとなれば、出られるんじゃないだろうか。