ストロベリー・ゲーム
そんなことを思いめぐらしていたら、ゆっくりと瞼が上がって、真広が目を覚ました。
「あ!」と私が声をあげて真広の顔を覗き込むと、つられて藍子も覗き込む。
「真広......?」
遠慮がちに藍子が声をかける。
「え? なに」
「どうしたの?」
「いや、こっちのセリフ......」
真広が恥ずかしそうに腕で顔を隠す。
ひとまず普通の反応だったので、私は安心して息をついた。
「覚えてないの?」
藍子の問いかけに真広が黙る。
ふと、ゆっくり起き上がった真広の手に、握られたままのナイフに目がいく。
......なんのためにこれを持ってたの?