ストロベリー・ゲーム
目的は「苺を食べるため」のはず。
少し気になって、私はさっき藍子と話していたことを聞いてみた。
「桐江くん、本当に病気とかじゃないの?」
「違うって!!」
真広が急に低い大きな声で叫んだ。
体から声まで自分の持つ全てで、私のそれを全否定するみたい。私も藍子も驚いて真広を見ていた。「なんでそんな声出すのよ」と小さな声で藍子が独りでに呟いたのが分かった。
真広がナイフを手放した。
私は「ごめんね」と咄嗟に謝った。真広はどうしてか、自分でも状況がよく分かっていないようで、叫んだ自分自身に後から驚いていた。
「俺倒れた? なんで......」
部屋の中に異様な空気が流れる。
なにかがおかしい......。