闇に咲く華
第8章 掌中之珠の華
翔樹side
ーッ。
!?
痛みで飛び起きる。
辺りを見ると、真っ白な部屋。
ここは…、病院…。
俺はどうしてここに…。
あぁ。
あの時、アイツに気絶させられたのか。
そう思った瞬間、全身の体温が急激に下がる感覚がした。
「莉依!!」
「静かに寝とけ、翔樹。」
ベッドを飛び降りようとしたとき、龍也が俺を制した。
「全治三週間だと。肋がやられてる。」
「これくらい…何てことねぇ…っ。」
「無理だ。せめて今日一日でも休んでろ。」
そう言って俺をベッドに戻そうとする。
だが、俺はそんな暇はねぇ。
「龍也…てめぇ、そこどけ!莉依のところに行くんだ!!」
今頃震えが止まらないはずだ。
傍に居てやらないと。
「お前に…何が出きるんだ…。」
力なく言う龍也…。
「姫ちゃんは、姫野組としてカタをつけに行ったんだ。ただの清宮の若頭に何が出きるって言うんだ?」
「ただの…だと…?」
「お前らは、付き合ってるわけでもねぇ。本当の家族でもねぇ。友達ごっこなら…生半可な気持ちなら関わるのをやめろ。少なくとも、俺には姫ちゃんの気持ちを弄んでるように見える。」
友達…ごっこ…。
違う。
そんなんじゃねぇ。
生半可な気持ち?
全くそんなんじゃねぇ。
弄んでる?
全く違う。
「翔樹、お前にとって姫ちゃんは何だ?ただの妹なのか?」
妹なんかじゃねぇ。
そんなの、始めっから分かってた。
なのに俺は、その想いに目を背けてた。
苦しい過去を持つ莉依には負担になるかもしれねぇって。
"好きでした。守ってくれてありがとう。"
あの時の莉依の笑いながら涙を流す顔が…、頭から離れねぇ。
俺は、あんな顔させたい訳じゃねぇのに…。
「はっきりさせろや。お前が守りたい真の理由は何だ?」
俺の守りたい真の理由…。
「俺は、莉依が好きだ。」
妹でもなく、ひとりの女として。
好きだ。
嫌、愛してる。