闇に咲く華
第9章 真相究明の華
朝早くから、また資料に目を通す。
まだまだ何冊もある資料に眩暈がしそう。
「おはようございます。姫、朝ごはんが出来るまで、紅茶を用意しました。」
「ありがとう、新。」
毎日の日課になりつつある、朝のティータイム。
糖分を体が欲していたから、ガムシロップを入れて飲み始める。
「新の淹れた紅茶は飲みやすいわね。」
熱さも、濃さも全てがちょうど良い。
「あの…。」
新は年上なのに、相変わらず敬語。
何故かそうなってしまうらしく、一種の癖みたいなもんだと以前聞いたことがある。
「新?どうしたの?」
「光の箱…、先代から何か聞いておられますか?奏希さんも知らないようでして…。」
「うーん。光の箱なんて聞いたことないわ。8歳までの記憶も怪しいし…。」
光の箱…。
光…。
箱…。
んー。
「light boxって言っても、そのまんまか…。」
「もう一つ。澤田はまだ何かありそうでして…。」
企みがあるということ?
新は顔を歪ませながら話を続ける。
「大和も感じているようですが、あの時の澤田、データの話をしていたのに焦る様子がなかったんです。余裕を持った表情でして…。」
あの時とは、翔ちゃん達とやりあっていた時のことね。
「確かに。データを欲しいとなれば、姫野組に攻め込んで探しだしそうなものを、奴はしなかった。優杏さんも、拐うことも出来るはずなのにやらない…持ってこいと言っていたわね…。」
「ただ、それがいくら探っても出てこないんです。澤田のデータベースを覗いても…。確信が持てない事案なので、憶測でしか言えませんが…。」