闇に咲く華
私は気持ちを何とか切り替えて、雑貨を見ることにした。
もう既に、満里奈と椿はグラスやら、フライパンやら見ていて、カゴの中に入れていた。
あ、このヘアピン可愛い。
真っ白な薔薇がついていて、私は目を奪われていた。
汚れていない純白の華。
じっと見すぎていたのか、2人が覗いてきた。
思わず驚いてしまい、肩が飛び跳ねる。
もう心臓に悪いから、急に来ないでよね…。
「莉依、可愛いの見つけたね!」
「莉依さんに似合いますわ!」
え、私の驚いた姿にはスルーですか?
ん?
まぁ、2人はいつもの事と気にしてないんでしょうけどね。
2人も気に入ったようで、このヘアピンをお揃いにすることにした。
他にも雑貨を見ていると、後ろから人の気配がした。
清宮でも、川城でも、満里奈と椿でもない。
「ーっ!?」
急いで振り返ると、そこには誰もいなかった。
でも、その一瞬で殺気と更なる恐怖が待ち受けていたのだ。
変な汗が背中を伝う。
確かに人がー…。
私の後ろで呟いた。
ー君は両親を巻き込んだ。踏み込んではいけない。ー
周りを見渡すも、怪しい人は見当たらない。
どうしよう…。
震えが止まらない。
最近は落ち着いていたのに。