闇に咲く華
私の様子に気がついたのか、清水組の若頭はニヤリと気持ち悪い笑みを見せた。
その気持ち悪い笑みは、私を意図も簡単に震え上がらせる…。
「あー、川城の若頭の右腕ね。鍋島だっけ?あんたには用がない。後ろにいる、姫野莉依に用があるのさ。」
「…。その内容によっては、私は貴方に手を出すことになります。」
私を隠すように、なべさんが戦闘体勢になる。
満里奈と椿は組員さんに守られるように囲われている。
震えを止めて、満里奈と椿に手を出させないようにしなきゃいけないのに…。
声が…上手く出せない…。
恐い…。
私の中で、恐怖が支配していく。
「澤田のおやっさんが、姫野莉依が必要だと言っていてね。ここまで来させてもらったよ。」
澤田…國光…が。
その言葉に、私の震えは栓を切ったかのように止まらなくなる。
「手荒な真似はしたくねぇんだ。大人しく、姫野莉依を渡してくれればいいんだよ。」
「嫌だと言ったら?」
なべさんの言葉に反応するように、清水組の若は懐から黒い塊を出した。
それに反応するように、周りにいた一般の人たちが、絶望の声を発する。
!?
なべさんの腕の隙間から見えたその塊に、更に体が震えた。