闇に咲く華
「これを見て、髪の毛一つ動かさないとは、流石川城のブレーン。」
清水組の若は、ネットリとした笑みを漏らしながら、銃をなべさんに向ける。
「私が、脅しに屈するとでも?」
「屈する奴ではないのは把握済みだよ。」
その瞬間、清水組の若頭の目線は満里奈と椿に注がれる。
っ!?
まさか!?
「お前に向けるのはつまらないから…。」
そう言って、なべさんと私の後ろに清水組の組員が回り込み、椿と満里奈に向けて拳銃を向けた。
川城の組員にも向けられ、一触即発な状態になる。
「さぁ、どうする?姫野莉依を渡してくれれば、後ろの娘たちに"コレ"を向けるのはやめよう。」
「…莉依さん、私の後ろから離れないでくださいね。」
そう言うと、なべさんは清水組の若に向かって拳を放つ。
それが合図のように、椿と満里奈の周りにいた組員も、向けられた銃へ拳を放った。
私を守りながらだからか、なべさんと組員さんたちが押されている。
本当だったら、毅然として私も立ち向かわないといけない。
私がしっかりしなきゃと思う…。
けれど、それでも、震えは止まらない。
何故、澤田組とその傘下も動いているの?
そもそも、清水は澤田の傘下なの?
頭が正常に動かず、恐怖が私を今以上に支配する。