お姫様は恋してる?
「へ?」

秀介は一瞬、理解できなかったのか固まったが、頭のいい彼らしくすぐに復活する。

「家のリビングで髪の毛乾かしながらって嫌だって事?」

「うん。プロポーズって夜景の綺麗なとことかレストランでバラの花束とか四角い箱をパカっとあけてじゃないの?」

秀介は頭を抱えて何やらぶつぶつ言っていたが、いきなり立ち上がるとママに声をかけた。

「一叶と出かける。帰りは未定。」

「あら、夕ご飯もうできるわよ。」

「一叶がここじゃダメだって言うんで、プロポーズしに行ってくる。」

まだ状況を掴みきれていない私を部屋まで引っ張って行くとクローゼットからお気に入りのワンピースを引っ張り出して、私に寄越した。

「着替えて出かけるぞ。」

ワンピースを持ったまま、動かない私に怪訝な顔をするから、はっきりと言ってやった。

「着替えするから部屋から出て。」

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