お姫様は恋してる?
「いーちかちゃん?聞いてる?」

「何ですか?」

「だから付き合ってよ。」

なんか秀介に腹が立ったから、ちょっとくらいならよそ見してやるっ。

「いいですけど、どこに?」

「ん、やったね。…俺と?」

「は?」

「まずはオトモダチからよろしくね。」

え、えー?!

「いっちゃん。お待たせ。」

唯ちゃんと啓太さんが、休憩時間の学祭デートから戻ってきたのは、それから10分くらい後だった。

「啓太、俺たち付き合う事になったから。」

ニコニコしながら、そう言う今泉さんと私を交互に見る唯ちゃんと啓太さん。

「えっ?えー?!いっちゃん、ほんと?」

「義也、いっちゃんは唯と純の友達だからふざけてなら反対するぞ。」

啓太さんも念を押すように聞いてくる。

「付き合ってよって言ったら、いいですけどって言ってくれたんだ。とりあえずオトモダチからってね。一叶ちゃん。」

「付き合ってにお返事しちゃったのは確かですけど、私好きな人がいるんで、お友達以上にならないかもしれません。」

とりあえず今泉さんには、そう返す。

出した言葉は、なかった事には出来ないから…

「一叶ちゃんより4歳も上だから大人なデートも期待しててね。」

今泉さんは、そう言いつつ笑うけど、秀介より26歳も下だから。

< 64 / 136 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop