お姫様は恋してる?
「とにかく10日には帰国できるから。」

「一叶と食事でもセッティングする?なんならお泊りも…」

香子の言葉につい想像して慌てる。

「な、何言ってんだよ。青少年保護育成条例に引っかかるだろうが。」

「もう16歳だし、入籍しちゃえば良かったのよ。もう少ししたら18歳まで待たなくちゃいけなくなるわよ。」

「母親が(けしか)けてどうすんだよ。」

「まぁ、一叶の気持ちが単なる恋に恋してか、それ以上か判断できなくて手を離すヘタレな秀介にはハードルが高いか。」

「うっさい。」

「それじゃ10日からうちに滞在のつもりで待ってるわ。」

「へ?」

「だってニューヨーク行くときマンション引き払っちゃったから、泊まるとこないんでしょ。」

「ビジネスホテル泊まるから。」

「ダメよ。うちに来て。」

「香子、一誠は怒らないのか。」

「一誠さんは、まぁ私もだけど秀介と一叶がお互いいいなら、婿に来てもいいくらいには思っているわよ。ヘタレなとこは残念だけど、楽だし。」

楽?いま、こいつ楽って言った?!

俺はやはり高階家と笠松家の人間に振り回される運命かもしれない。

一叶が生まれる前からずっと…

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