お姫様は恋してる?
「ところで秀介は、なんで帰って来たの?」

「ちょ、ちょっと仕事で…」

さすがに一叶の様子を見に来たなんて言ってくれないか。

「まぁいいけど…バレンタイン前に帰って来てくれたから渡せるもんね。」

そう言うと少し嬉しそうな顔になったから、まだ大丈夫だと安心したけど、何でもないような顔を作っていた。

「で、一叶は何作るの?」 

キッチンで洗い物を手伝っているとママに聞かれた。

「チョコクッキー。いっぱい作ってパパや一貴、唯ちゃん達にもあげるんだ。」

「秀介は?」

「どうしようかな。」

秀介だけ差別化したいけど、そこまでお菓子作り得意じゃないから悩む。

「それじゃ、一緒にケーキ作る?」

「そうだね。ママ手伝ってよ。」

「もちろん。」

秀介用のクッキーだけハート型にしてラッピングもかわいいものにした。

ケーキは、ママに手伝って貰ったから秀介にもあげるけど、家族みんなで食べる用にして、ひとりで作ったクッキーをちゃんと渡したかったんだ。

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