【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
最近は伊織さんも週に一回は休みを作ってくれるようになった。
ポーカーフェイスを決めていたけれど、休日に誘われるのは気持ちがそわそわした。
そわそわして、それが嬉しいのだと直ぐに気が付く。 顔が、自然と緩んでいくのが分かった。
しかしその話に割り込んできたのは桃菜だった。
「ええー。どこに行くんですかー?桃菜も、行きたい…」
どこまで図々しいのだろう。しかしこれが桃菜だ。
大きな瞳を潤ませてぷくりと頬を膨らませる。
そういえば歴代付き合ってきた彼氏を桃菜に取られる時も、いつだって桃菜は私についてきたがっていた。
そして二人はいつの間にかコソコソと会うようになるのだ。 そういうのにも慣れ切ってしまっていたけれど、今回は心から嫌だった。
「行きたいって言っても…」
「伊織さんひどい……私ずっと真凛ちゃんと会えなかったんですよ。だから久しぶりの休日位真凛ちゃんと一緒に過ごしたかったのに。ぐすん」