【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

ボヤージュの支店でアルバイトを始めて一ヵ月。 伊織さんと結婚をして三ヵ月。
まだまだ残暑で店内にあるアイスは売れに売れているが、少しずつ秋の新商品が店内に並ぶ。

初めての接客業は意外にも楽しかったが、店内で桃菜の態度や行動が問題視されていた。 けれど、店長である男性社員と仲が良いので特別お咎めなしだ。

パートのおばちゃん達にはすこぶる評判が悪い。

「蛯原さんとは大学の同級生なんだって?」

「そうなんです。 実は前の会社も一緒だったので…」

「顔はすごく可愛らしい子なのにね。 もっと仕事を真面目にやってくれたらいいのだけど。
イケメンの男性客には接客態度もいいんだけど、それ以外は…
このままだったらクレーム来ちゃうわよ」

「何か、すいません」

「あら、市ヶ谷さんが謝る事じゃないわ。 それにしても店長が頼りなくって困っちゃう」

< 144 / 284 >

この作品をシェア

pagetop