【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
ボヤージュの支店でアルバイトを始めて一ヵ月。 伊織さんと結婚をして三ヵ月。
まだまだ残暑で店内にあるアイスは売れに売れているが、少しずつ秋の新商品が店内に並ぶ。
初めての接客業は意外にも楽しかったが、店内で桃菜の態度や行動が問題視されていた。 けれど、店長である男性社員と仲が良いので特別お咎めなしだ。
パートのおばちゃん達にはすこぶる評判が悪い。
「蛯原さんとは大学の同級生なんだって?」
「そうなんです。 実は前の会社も一緒だったので…」
「顔はすごく可愛らしい子なのにね。 もっと仕事を真面目にやってくれたらいいのだけど。
イケメンの男性客には接客態度もいいんだけど、それ以外は…
このままだったらクレーム来ちゃうわよ」
「何か、すいません」
「あら、市ヶ谷さんが謝る事じゃないわ。 それにしても店長が頼りなくって困っちゃう」