【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

「真凛ちゃん、あなた結婚してちょうだい」

「は…?何言ってるの?ついに頭までおかしくなっちゃったの…?」

「お願いします!すっごく良い話なのよッ。
日本を代表するボヤージュっていうお菓子メーカーの息子さんなの。
噂では高身長で顔もハンサムだって言うの。 ぜ~ったい真凛ちゃんも気にいるって
それに玉の輿だし?
ね、嬉しいでしょう?」

ボヤージュ?お菓子メーカー?息子?玉の輿?
一体どういう事だ。 そもそも結婚って一体何の話なのよ。

顔も知らない人といきなり結婚したって嬉しい訳がない! そもそもあなたの娘は今日失恋したばかりなのだ。

なのに何故突然結婚話になるのだ。

途端に目眩が襲ってきて、意識が遠のいていく。 床にぺたりと座り込むと
両手をぎゅっと握りしめて’お願い’のポーズを取る母を見上げながら
いつも優しく笑ってくれた祖母を思い出した。

ああ…、おばあちゃんに会いたい。 私の成長を何より喜んでくれて、いつだって味方で居てくれた
あの笑顔に会いたい。

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