【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

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俺の祖父である市ヶ谷孝守は、若い頃結婚を約束した女性がいたという。

しかし時代背景のせいもあったのだろうか、祖父は愛した女性と結婚出来ず今は亡き祖母と結婚した。

それでも20歳の時に愛した女性と一つの約束をしたのだという。


’将来互いの子供達を結婚させよう’ しかし互いに生まれた子供は女の子。同性同士だったため、その約束は果たされなかった。

時は流れ二人の娘達も結婚をし、子供を授かった。
それが真凛とこの俺だった。

子供同士が無理ならば、孫同士を、との事で色ボケじじいが50年の時を経て自分の叶えられなかった初恋を俺達へと託したわけだ。

結婚生活には余り興味がなかった。
幸せな家庭像が自分には余りにもかけ離れていた。 自分の両親も政略結婚のようなものだ。

家柄のせいで厳しく躾けられたが、愛情を感じた事は余りなかった。  両親の間はいつもピリピリしていた。

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