【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

小さな頃から変わり者だと言われていて、母は兄の三織の事は可愛がっていて俺には興味がなかったようだ。

唯一家族の中で俺を気にかけてくれていた祖父からこの話を持ってこられた時も、乗り気ではなかった。

祖父はそんな俺に条件をつけた。


ボヤージュのお菓子の仕事には興味がなかったが、インテリアには興味があっていつか自分のお店を開けたらいいと思っていたから
祖父が結婚を条件にボヤージュの店舗に併設するお店を出す資金を提供してくれる事になる。 それがこの結婚の始まりだった。

自分の願いが叶うなら、誰と結婚しようが興味はなかったはずだ。

「伊織ん~!伊織んってば…!鍵開けてよぉ…!」

真凛の親友である桃菜の部屋から出て自室に鍵をかける。 それでもドアをばんばんと叩いて、大声を上げていた。

「鬱陶しい。」

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