【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
「それで碧人、真凛は今どこに?!」
「真凛さんは今お友達の家にいるそうだよ。 あれじゃあ今話にいっても埒があかない。
もう少し落ち着いてから俺からも説得するから迎えにいってくれ」
「とはいっても、心配なんだよ…!誤解されたままだーっつのも嫌だ…。その友達の家の住所を教えてくれ」
「今突然行っても迷惑がられるだけだ。お互いに頭を冷やした方がいい」
碧人の言葉はもっともだが、落ち込みずーんと肩を落とす。 床にひれ伏すと、後悔ばかりが襲ってくる。
そんな俺の背中を碧人は軽く叩く。
「思っていたよりずっと真凛さんを大切に想っていて良かったよ。
お前は仕事以外何に関しても鈍いから、自分の気持ちにさえ気が付いていないかと思った」
「…さっきも言った通り真凛は俺にとって大切な人だ。 初めてだったんだよ。
一緒に居て居心地が良いと思える女性に会ったのは……
俺にいつも何か言いたそうで、でも中々言い出してくれなくって、そればかり心配だった。
今にして思えば俺ももっと強引でも真凛の言葉を聞くべきだった。どれだけ相手に煙たがられようがな」