【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない

「真凛さんと仰ったね?」

「はい…。蓮見 真凛です…。」

「るり子の若い頃によく似ている…。 雰囲気もそっくりだ。
こう言ったらあれだけどお母様には余り似ていないんだね」

確かに。
私は幼い頃から母に似ているとは余り言われない。 元々タイプが正反対なのだ。

母よりかは祖母似だとは思う。 でもそれは小さい頃から母より祖母が身近にいたせいなのだと思っていた。

「あの…市ヶ谷さんは一体……」

母に訊いても明確な答えは出ずじまいだった。
おばあちゃんの恋人と抽象的な言葉しか返って来なかった。
私が訊きたかったのはそういう事ではない。

私の知る限り祖母に恋人なんかいない。 決して口数は多くは無かったが優し気な雰囲気を身にまとった亡くなった祖父以外男の影なんて一つもありやしなかった。

それに祖父が生きていた頃から二人は仲良し夫婦だったのだ。 だから’恋人’なんて今更言われてもいまいちピンとこない。

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