【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
おばあちゃんにとって自慢の孫でありたかった。 両親がいないのを寂しく感じる時は、いつも悲しそうな顔をするから
おばあちゃんにそんな顔をさせたくなくって、頑張って平気な振りをするのが癖になっていた。
…けれど、おばあちゃんには私のそんな強がり…お見通しだったんだね。
伊織さんもさっき言ってくれた。私の’強がり’に気づいてくれた。
いつも周りに強いから大丈夫だよね。と言われ続けていた。 その言葉を言われるたびに、自分は強くなくてはいけないと思っていた。
しっかりして、何があっても平気な振りをしていないと価値なんてないと思っていた。
本当は傷ついているのに平気な振りをしているうちに、何かが麻痺していったんだ。
「泣かないでね。きっとあなたは優しい子なのね」
「おば…おばあちゃん……」
おばあちゃんはもう私の事なんか分からない筈なのに、おばあちゃんと何度も呼んで手を握り締めたまま膝の上で泣き続けた。
小さな時から人に甘える事さえ出来なかったのだ。