【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
秋になったとはいえ、まだまだ日中は暑い。 小早川さんは着ていたジャケットを脱ぎ手のひらで顔をぱたぱたと仰いだ。
「お待たせしてしまって、申し訳ありません。」
「いえいえ、全然。待ち合わせ時間ぴったりですし。
それにそんなに慌てて来なくても大丈夫ですよ。 外は暑かったでしょう」
ネクタイをすぐに緩めると、手を挙げて店員さんを呼び「アイスコーヒーを」と注文する。
「早く直接会いに行こうと思ったのですが、色々と立て込んでおりまして。
会いに来るのが遅くなってしまい、本当に申し訳ありません」
私に向かって深々と頭を下げる小早川さんに対し、慌てて「大丈夫です!」と言う。
本当に腰の低い人だなあ、と彼のつむじを見つめながら思う。
ちょうどアイスコーヒーが着て、彼はゆっくりとそれに口をつける。 そしておもむろに切り出すように言った。
「真凛さんは色々と誤解されているかもしれないので、説明しに来ました。
今回は仕事としてではなく、伊織の友人として言いたい事があります」