【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
「あの後俺も伊織のマンションに行ったんです。 その時に桃菜さんを含め三人で話し合いをしました。
伊織は俺が来るまで桃菜さんを自室には決して入れなかったし、その後の話し合いでも真凛さんに誤解を与えるような行動を取るなら家に置いておくことは出来ないと桃菜さんにはっきりと言いました。」
「伊織さんが?」
訝し気な顔で彼を見上げると、小早川さんはこくんと小さく頷いた。
「あの日も、朝真凛さんに桃菜さんが風邪をひいたと窺ったと聞いています」
確かに、あの日朝彼にそう言った。
「真凛さんが仕事で遅くなると言っていたので、伊織はその日出来るだけ仕事を早く切り上げてマンションに戻ったそうです。
それで桃菜さんの様子をうかがう為に部屋に入った所、突然抱き着かれたそうです。
伊織は真凛さんのご友人との事で心配していたみたいで、桃菜さんに特別な感情は絶対にありえません」
「それは、私の友人だから心配してくれたという事でしょうか?」
こんな都合の良い事を思って自惚れたくはないのだけど、小早川さんの言い方を聞いていたら
まるで伊織さんは私の為に色々としてくれたと言われているような気になってくる。