【完】この愛を、まだ運命だとは甘えたくない
くくっと意地悪な笑みを浮かべた小早川さんは、何故か心底楽しそうだった。
「でも私…伊織さんの事を信じれなくって…
この間も職場まで来てくれたのに、酷い事を言っちゃった…。
どうしよう…ちゃんと話を聞いてあげる事も出来なくって…私伊織さんと話し合わない事沢山あるのに」
「今、桃菜さんも出て行ってマンションには伊織一人です。
最近は仕事も身に入らないようで、落ち込んでいます。
こんな事俺から言うのは余計なお世話かもしれないけど、一度会いに行ってやってくれませんか?
真凛さんの思っている事、全部伊織に吐き出せばいい。 二人がすれ違っているのだとすれば、それは互いにきちんと想いを伝えていないからです」
小早川さんの言葉に胸がジーンと熱くなる。
こんなに大切に想われていたなんて、小早川さんの話を聞くまで思いもしなかった。
伊織さんも、今までの人と同じ。そう決めつけて彼の話を聞こうともしなかった。そんな自分が情けないし、悲しい。
全然彼を思いやってあげていなかったのは、私の方だ。